コンセプト・経緯

松江城プラモ化にあたって

「松江城のプラモデルが欲しい!」
島根の模型を作る人間にとって長年の夢。


現存十二天守の一つなのになぜキット化されない?」
「コンクリート再建天守でさえキットが在るのに」


そんな想いを抱きつつもプラモデルメーカーさんは造ってくれそうもない。いや、そもそも「お城のプラモデル」自体なかなか新作が出ない。そうこうしているうちに松江開府400年祭が開幕。期間最終年2011年は松江城天守が上がってからちょうど400年目の節目の年、「今、キット化しないとチャンスは無い!」と一念発起。松江市に資料を頂き、童友社に製作を依頼し、地域資源産業活性化基金に助成を申請し、島根大学にもお願いをし、県庁にも頼みに行って・・・


まさに地元の色々な方々の協力を得てキット化が実現しました。
失われた本丸東側の多聞櫓・祈祷櫓本丸・中曲輪土塀もパーツ化し、往時の威容を再現。どれほど松江城天守が立派なのか実感出来るように童友社のラインナップとスケールを揃える


そんなコダワリ感じとっていただければ幸いです。



用語説明

プラモデル
プラスチック製の組立模型で正確にはプラスチックモデルキット。日本プラモデル工業協同組合が所有する登録商標であるが、広く一般名称として根付いている。通称プラモ。
現存十二天守
江戸時代までに建築された(天守の場合は「上げる」という)天守の内、現存する天守。全てが国宝もしくは重要文化財に指定されている。 ◎国宝:姫路城、彦根城、松本城、犬山城◎重要文化財:松江城、高知城、伊予松山城、備中松山城、丸亀城、宇和島城、丸岡城、弘前城
再建天守
明治の廃城令や戦災等により失われた天守を再建したもの。当時と同じ木造や鉄筋コンクリート造の天守も。再現度合いにより、復元天守、復興天守、模擬天守と分類される。
お城のプラモデル
大別して「建物のみ」のキット化(天守及び接している櫓)と天守周辺の地形も含めたキット化に分かれる。松江城プラモは後者にあたる。
新作が出ない
(1)そもそも城の数(天守の数)が限られている(2)全国的にメジャーな城は既ににキット化されている(3)他ジャンルに比べ城モデルの市場が狭い(国内限定)といった理由で何十年もアイテムが増えない。
松江開府400年祭
堀尾吉晴により慶長十二年(1607)より築城開始、慶長十六年(1611)に完成。
松江市
島根県の県庁所在地。現在、松江城は松江市の所有。模型化にあたり教育委員会から図面の提供並びに監修をして頂きました。
童友社
株式会社 童友社。 現在市場に出回る城郭プラモの大半は童友社製。他にはフジミ模型製が数点とGSIクレオス製が1点のみ。(2011年現在)
地域資源産業活性化基金
各都道府県の一次産品や観光資源を利用した新商品開発に対する助成。地域により名称は多少違う。島根県の場合、松江城も観光資源として指定されている。審査のプレゼンはメチャメチャ緊張する。
島根大学
島根県所在の国立大学法人。模型化にあたりパッケージ題字(全国版)を山本廣基学長に、ホームページ及びパンフレット解説文を法文学部小林准士先生(日本史)に書いていただきました。
県庁
島根県庁。松江城三の丸跡に本庁舎が在る。「完成の暁には『にほんばし島根館』に置いて下さい!」とお願いに行きました。
多聞櫓
廊下状の細い櫓。かつて松江城本丸は6基の二重櫓と間を繋ぐ多聞櫓に囲われていた。パーツ化された多聞櫓は荒神櫓と一体でL字型の構造。パーツ化に際しては再建された二の丸の各櫓を参考にした。
祈祷櫓
本丸東側の天守入口付近に在った二階櫓。荒神櫓、このしろ櫓、東之出し矢櫓とも。松江城怪奇伝説の大半はこの櫓周辺のお話。
本丸
城の軍事的中枢部。松江城の場合、山上の整地された区画が本丸。最終防衛線になる為、どの城においても厳重に守られる。
中曲輪
二の丸下の段と本丸の間のスペース。階段上に段差が築かれ、一二三段(ひふみだん)となっている。重防備で名高いの松江城の特徴の一つ。
土塀
現在、二の丸上の段の一部が3基の櫓と共に再建されている。キットの土塀は再建された土塀を元にパーツ化。
松江城天守が立派
五層六階の望楼型天守の総高は十五間五尺(約30メートル)で天守本体は約22メートル。現存天守の中では姫路城、松本城に次ぐ3番目、平面積は姫路城に次ぐ2番目の規模。シャチホコ(鯱)は約2メートルの高さで最大。ちなみに地元のもう一つのシンボル、出雲大社御本殿は24メートルとこれまた大きい。
スケールを揃える
出雲人は出雲大社にしても松江城にしても日常見慣れているせいか、その大きさを「当たり前」に思っていて、全国的にみて大きな建物と理解していない。他の城とスケールを大体揃え、比較する事で地元民に「松江城の素晴らしさ」を再認識して欲しいのです。